中国では、外国の政府機関や報道機関が中国人スタッフを直接雇用することを禁じている。そのため、日本だけでなく米国など世界各国の大使館も「北京外交人員人事服務公司」などの国有企業を通してスタッフを雇うしかない。しかし各国ではそれぞれ厳しい秘密保全基準を設けている。
「米国大使館でも現地職員を数多く雇っているが、取り扱い業務は厳しく限定されている。中国人スタッフに伝えられる情報は、いわば“中国当局に筒抜けになっても構わないものだけ”。同盟国である日本大使館・領事館のセキュリティの甘さは、米国にとっても懸念事項だ」(米国国務省関係者)
国家機密や個人情報の漏洩防止について外務省に質すと、「情報防護を含め、秘密保全体制の点検に万全を期している」(在外公館課)とするのみで、現地スタッフに秘密保持義務を課しているかなど詳細は答えなかった。
これで“諜報大国”と互角に渡り合えるのか。
取材協力/時任兼作(ジャーナリスト)
※週刊ポスト2021年5月7・14日号