アメリカの支援表明でインド株、インドルピーが反発
以上、「21世紀経済報道」の内容は結構ショッキングなものだが、実際の状況はどうかといえば、インドSENSEX指数は2月中旬以降下げトレンドを形成していたものの、4月22日を底に一旦、反発している。インドルピー対ドルレートは3月中旬以降急落したが、足元では4月21日を底に戻している。今のところ危機と呼べる水準からは脱しているようにもみえるが、これはアメリカによるインド支援が大きく影響している。危機の元凶である新型コロナウイルス感染拡大の沈静化に、アメリカが手を貸す方針を打ち出しているからだ。
アメリカ国家安全保障会議は4月25日、ワクチン原料や治療薬、検査キット、人工呼吸器、個人防護具などを提供すると発表した。バイデン大統領は26日、モディ首相と電話会談を行った際、コロナ禍に苦しむインドに対して「ゆるぎない支援を行う」と約束した。
中国に対して包囲網を敷こうとしているアメリカにとってクワッド(日米豪印)の一角であるインドは政治的に重要な国である。中国に支援させたくないという思惑も働いたであろう。
アメリカがインドを支援するならば、インド株、インドルピーは底堅く推移するといった見方もできるかもしれない。
それにしても、金融の力は大きい。新興国における金融の自由化、グローバル化は大袈裟に言えばその国の主権を揺るがしかねない。逆に言えば、金融強国にとって自由化、グローバル化は国家の影響力を強める強力な武器となる。
しかし、アメリカでは、金融の自由化、グローバル化を進展させたことで、それが回り回って国民の間に大きな格差を生み出している現状がある。