新型コロナ感染拡大により、多くの企業が業績悪化を余儀なくされている。その影響は従業員にも広く及んでいる。関連会社に出向した結果、将来への不安が増したという30代の女性会社員に、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた
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新型コロナ感染拡大防止のための自粛生活は、経済に大きなダメージを与えている。NHKと第一生命が実施した共同アンケート(1月14日発表)では、感染拡大前と比べ売り上げが減少したと回答した企業は、約1万8000社の7割近く、68%に上った。その中でも影響が大きかったのが、宿泊業(「売り上げ5割以上減」と答えたのが3分の2)と飲食サービス業(同半数)である(NHK新型コロナ特設サイトより)。収束が見えない新型コロナウイルス、今後も経済への影響は続きそうだ。
千葉県在住の食品製造業勤務、倉田つぐみさん(仮名・33歳)は、新型コロナウイルスで会社の業績が悪化したことから、関連会社に出向することが決まった。新しい仕事は個人宅に自社のサービスを案内する電話アポイント業務。約10年、事務作業のみしかこなしてこなかった倉田さんとしては、非常に辛い仕事だと嘆いていた。
「上司から出向を命じられ、業務内容を聞いた時、お払い箱行きってことなのかな……って察しました。給料は高くないけど、仕事はとても楽。何もスキルを身に着けることなく33歳まで来てしまいました。転職も考えましたが、ご時世的にも良さそうな求人はほとんどないですね……」(倉田さん、以下同)
現在はアパートに一人暮らし。給料は月20万円程度で、生活するだけなら問題ないとのこと。しかし出向を機に、仕事に対する不安が急増。仕事に耐えられず会社を辞めることになるのではないかと、夜も眠れなくなったという。そこで手を出したのがマッチングアプリだった。
「一人でいるほうが気楽なタイプで、元々結婚願望はありませんでした。しかし、今回の出向を機に考えが変わったんです。万が一、仕事がなくなったら、生活が破綻したら……。そんな時、支えてくれるパートナーがいてくれたらいいなぁって思うようになりました」