結婚相手に求める条件は年収、性格、容姿など人それぞれだろうが、特に「お金」にこだわり、「お金のために結婚を決めた」と断言できる人も少なからずいるようだ。
30代の女性・Aさんもその一人だ。2年前、大手メーカーに勤務する3歳年下の男性と結婚。今のところ夫の年収だけで夫婦が十分暮らしていけるため、Aさんは働きに出ず、自宅で手作りアクセサリーやバッグをネットで販売するなどして、お小遣い稼ぎをしている。
ほぼ家にいて、掃除や食事といった家事の9割を担当するAさん。「本当に幸せです」と満足気だが、ここまでの道は平坦ではなかった。
「専門学校を卒業後、ブラック企業に就職してしまい、残業代はもらえないし、心身ともにボロボロ。実家に住んで派遣やアルバイトを転々としていましたが、体調を崩して、消えたくなりました」(Aさん)
その後、どうにか専門学校時代に培った手芸スキルをもとに、フリーランスで月8万円程度を稼げるようになったが、家業が不振に陥ったことで転機が訪れる。
Aさんの実家は狭いアパートに引っ越すことになり、そこにAさんの部屋はなかった。結局追い出される形になり、「今までの自分が甘かったといえばそれまでですが、貯金はゼロ。収入も一人暮らしはできないレベルだったので、絶望的でした」と振り返る。
当時20代半ばだったAさんは、友だちの家に転がり込みつつ、夜の街でのバイトにも手を出した。さまざまな仕事を経験しながらお金を稼ぐうちに、Aさんは「お金があれば、不幸から逃れられる」と確信。性格や容姿などといった条件は一切無視し、「お金」を最重視して婚活を開始した。数打ちゃ当たる戦法で、合コンや結婚相談所などで次々と出会いを求めた。