オーストラリア資源の輸入が制限されるリスク
もう一つは国際関係に関する政策である。国家発展改革委員会は6日、中国オーストラリア間の戦略経済対話に関して一切の活動を無期に停止すると発表した。
6日の外交部記者会見によれば、中国側の言い分は以下の通りである。
〈我々は終始、健全で安定した関係が両国の根本的な利益に合致し、中国オーストラリア間の合作の本質はウィンウィンであると認識していた。同時に、相互に尊重し、お互いに信じあうことが各国間で展開する対話や実務的な合作の前提である。しかし、ある時から、オーストラリア側は中国側の譲れない立場を顧みず、いわゆる国家安全を理由に両国間の貿易、人文などの領域における合作プロジェクトや既に成果が出ていた案件についても制限や圧力を加えて変更しようとし、著しく両国の相互信頼を損ね、正常な交流合作の基礎を破壊した。中国側は、必要で正当な反応を示さざるを得なかった。
我々はオーストラリアが冷戦の発想やイデオロギーに関する偏見を捨て、客観的な態度で中国の発展、中国オーストラリア間の合作を見守り、すぐに理性を取り戻し、過ちを正し、弦を替え張り直し(比喩)、中国オーストラリアの合作に対して狂ったように圧力をかける行為を停止し、国家間の正常な交流を政治化し、汚名を着せるのを止め、間違った道をさらに遠ざかるような真似は慎むべきだ。〉
厳しい発言である。中国はオーストラリアから鉄鉱石、石炭、非鉄金属などの資源を輸入している。多くの市場参加者は両国の関係悪化から、こうした資源の輸入が制限されるリスクを感じ取ったようだ。
これらの二つの要因によって、需給が逼迫し、価格が上昇する見通しが広がり、鉄鋼セクターの株価は急騰している。
中国政府は自国の経済に強い自信を持っているようだ。鉄鋼業界に対する今回の政策は今年に入り習近平政権が注力するカーボンニュートラル戦略の一環である。世界的に新型コロナウイルスの流行を抑えきれずに各国が疾病対策、景気対策に追われる中で中国は景気に負荷のかかる長期戦略を実行しようとしている。