「部長になるのはさらにイヤ」
さらに、社会全体を覆う「女性が活躍すべき、管理職をもっと増やすべき」という空気についても、「自分でなくてもよいのでは?」と本音を吐露する。
「うちの会社の場合、私みたいに上昇志向がなく、『そこそこの給料で、そこそこの責任で働いていたい』という女性社員も多いんですよ。もちろん会社としては、対外的にも女性管理職比率を上げなくてはならない、というのは理解しています。女性の営業職で管理職に着かせることは、会社の『ジェンダーギャップ』の改善実績にもつながりますからね」
Aさんは、今回の出世をあまり喜んでいないようだが、今後、部長になるなどさらなる出世の可能性があることについても、気が重いという。
「それなりに給料ももらえているので、ここで辞めたところで今より条件いいところへ転職するのは難しいでしょう。私は同期でも早く課長になったので、今後部長になることもあり得ると思います。会社としても女性を積極的に出世させる方向でしょうし、それに後押しされるかもしれません。
本音を言うと、部長になるのは課長になるよりもさらにイヤですが、やるしかない。役職を与えられたのであれば、やって、ダメだったら外されるだけです。そうなると会社には居づらくなるでしょう。だから、とりあえずやれるだけやるしかないという諦めの境地です」
会社が今になって急に女性管理職を増やそうと意気込んでも、当の女性社員たちの気持ちがそこに追いついていない面もある。これまで培ってきた男性中心の企業風土を変えるには、まだまだ時間がかかるかもしれない。