ダチョウ倶楽部ではないが「聞いてないよ~!」と言いたくなることはビジネスシーンでは頻繁に発生する。なぜそんな事態に陥るのか。その理由として「自分の権力を誇示したい“中途半端にエラい人”が存在するのではないか」と分析するのは、長年フリーランスとして働いてきたネットニュース編集者の中川淳一郎氏(47)だ。以下、中川氏が自身の経験をもとに解説する。
* * *
先日、若いライターから嘆かれました。「突然、企画をちゃぶ台返しをされて新たに取材をしなくてはならなくなりました!」と。
とある企画で専門家の取材をしたものの、発注元社員の副編集長がフリーの編集者に「やっぱコレじゃダメ」と突然方針転換してきたのです。それをこのフリー編集者は若いライターにそのまま伝えた。
これは校了(要するに印刷所に出す日のこと)の2日前に言われたそうです。通常、ライターは校了の4日ぐらい前には原稿を出し、デザイナーがそのページを作っていくもの。ところが副編集長は原稿をもらってから2日間の時間を置いたうえで、校了の2日前にちゃぶ台返しをしてきた!
実は私もこの副編集長なる人物のことは知っており、正直、憤りも感じています。だからこの原稿は「お前、いい加減にせぇ!」という気持ちで書いています。
私自身も過去、「若手フリーライター」だった20代後半~30代前半はこの手のちゃぶ台返しをされることは、頻繁にありました。東京ディズニーシー(TDS)とユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の比較記事を書いた後で、「TDSは左回りで攻略すべし! USJは右回りで攻略すべし! という記事にしたいんだよね」と担当編集者(社員)から言われました。
いや、別にテーマパークを楽しむのに「右回り」だろうが「左回り」だろうがどうでもいいだろう? と思ったのですが、この編集者は「いや、そういうことにしたい。なんとかそのような原稿にしろ!」と私に強要してきました。