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JR日高線は大部分が廃線に 海沿いの路線を襲う「塩害」の過酷さ

高波被害に遭った日高線の線路。線路を守っていた護岸壁の傷跡も痛々しい(筆者撮影)

高波被害に遭った日高線の線路。線路を守っていた護岸壁の傷跡も痛々しい(筆者撮影)

 北海道の太平洋沿岸を走るJR北海道日高線が4月1日、線路の大部分を廃止した。高波の被害を受け長らく運行を休止していたが、ついに復旧することなく、80年余り続いた歴史に区切りを付けた格好だ。災害が大きな要因ではあるが、海岸沿いに路線を持つ鉄道会社ならではの知られざる苦闘もあったという。鉄道ジャーナリストの梅原淳さんが解説する。

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 JR北海道は4月1日、日高線の約8割にあたる、116kmの鵡川(むかわ)~様似(さまに)間を廃止した。この結果、日高線は苫小牧市の苫小牧駅と鵡川駅との間を結ぶ30.5kmの路線に短縮されることとなった。

 鵡川~様似間の線路は、2015年1月に発生した暴風雪による高波の被害を受けて以来、運休となっていた。JR北海道は地元と協議のうえ、営業再開の道を探ったが、約86億円にものぼる復旧費用や、今後の維持に必要となる年間16億円余りの費用の負担割合で折り合いが付かず、再開を断念せざるを得なかった。運休中の2016年には、台風7、9、10、11号が追い打ちをかけるように日高線を襲い、既に被災していた線路がさらに傷ついてしまったことも復旧を果たせなかった理由の一つだ。

 約8割にもおよぶ線路が廃止されたことで、地元の利用者は不便を強いられることが想像される。だが、被災直前の1日当たりの運行本数は、様似駅方面が8本、鵡川駅方面が7本の計15本で、1本の列車に乗っていた利用者数の平均はわずか13人に過ぎなかった。収支状況も悪く、被災前の2014年度は8000万円の収入に対して11億円の赤字となっていたという。鉄道として存続させることは極めて難しい状況もあり、今回の廃止はやむを得ない結果とも言える。

 高波の被害に遭ったというくらいだから、鵡川~様似間の多くの線路は海沿いに敷かれ、ほぼすべての区間で車窓から海が見えていた。特に鵡川駅から6駅目の厚賀(あつが)駅から大狩部(おおかりべ)、節婦(せっぷ)、新冠(にいかっぷ)、静内(しずない)の各駅を経て東静内駅に至る25.3kmや、東静内駅から9駅目の東町(ひがしちょう)駅から鵜苫(うとま)駅までの8.7kmは海岸線沿いに線路が敷かれていた。

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