次に塩害が深刻なのは、新潟県から山口県にかけての日本海側で「S1地域」と名付けられた。それ以外の海沿いは「S2地域」と呼ばれ、塩害は前述の2つと比べれば緩いと思われがちだが、今回廃止となった日高線の沿線にS2地域が含まれていることを考えると、塩害の厳しさがどれほどか分かるだろう。
「自然災害と闘う鉄道」と言うと、とかく雪や大雨による災害が注目を浴びることが多いが、荒波や潮風がもたらす甚大な被害も忘れてはならないのだ。
【プロフィール】
梅原淳(うめはら・じゅん)/鉄道ジャーナリスト。大学卒業後、三井銀行(現在の三井住友銀行)入行。雑誌編集の道に転じ、月刊「鉄道ファン」編集部などを経て2000年に独立。現在は書籍の執筆や雑誌・Webメディアへの寄稿、講演などを中心に活動し、行政・自治体が実施する調査協力なども精力的に行う。近著に『新幹線を運行する技術 超過密ダイヤを安全に遂行する運用システムの秘密』がある。