うまく活用できるのは一部
こうした落とし穴にはまる人は少なくない。元国税調査官でフリーライターの大村大次郎氏が言う。
「不動産の活用で相続税対策になるのはたしかですが、あくまでも“うまく活用すれば”という前提があってのことです。相続のためだけにアパート経営をすることはリスクが高く非常に危険です。不動産業者はアパート経営を勧めますが、本当に簡単に儲かるなら、業者が自分でやります」
たとえ相続税を圧縮できても、アパート経営やマンション投資で損失が出れば、何の意味もない。
「手を出すのであれば、アパート経営で利益を出せる確信が持てるくらいの研究を重ねるべきです。そもそも、資産が1億円あったとしても相続税は1000万~2000万円で済みますし、子供ではなくすべてを配偶者が相続するなら、1億6000万円まで配偶者控除があって無税です」(同前)
“子供のために”と考えて、わざわざリスクを抱える必要があるのか、冷静に考えたほうがいい。
※週刊ポスト2021年6月4日号