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9割超の人が相続税とは無縁 節税目的の生前贈与で生活逼迫のリスクも

節税対策で、かえって損する可能性も…

節税対策で、かえって損する可能性も…(Getty Images)

 コロナ禍の真っただ中だった2020年4月1日から、約40年ぶりに相続法が改正され、新たなルールが施行されたことをご存じだろうか。今回の改正では、夫が亡くなった後も家に住み続けられる権利や、相続人でなくても故人の介護に貢献していればお金が受け取れる権利など、一見妻にとって有利に見えるものが多い。だが、しっかり知っておかないとかえって大損したり、家族に迷惑をかけることにもなるかもしれない。

相続税対策をすればするほどお金がなくなる

 まず知っておくべきなのは、相続税に関すること。「子供や孫にできるだけ財産を残したい」「相続税がかからないように生前に贈与しておきたい」──人生の最期が見えてくると、そう考える人は多い。

 しかし、やみくもに生前贈与をしたり財産を減らしたりするのは、絶対にやめた方がいい。というのも、2022年10月以降、単身で年収200万円以上ある75才以上の後期高齢者の医療費は、それまでの1割負担から2割負担に引き上げられる見込みだ(12月中旬時点)。折しもコロナ禍にあり、今後も医療費がどれほど必要になるのか、はかり知れない。相続・終活コンサルタントで行政書士の明石久美さんが話す。

「まず考えてほしいのは、あなた自身のこれからの生活を考えたときに“贈与している場合じゃないかもしれない”ということです。これから先、大きなけがや病気でお金が必要になるかもしれないのに、それを考えずに贈与したら、もしものときにあなた自身の生活を逼迫しかねない。子供にすぐに贈与などせず、あなたの死後に相続させた方がいいケースがほとんどです」

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