医療分野での発展に大きく寄与することが確実視されている再生医療。その将来的な可能性はビジネスの分野でも大きな注目を集めている。
再生医療とは、身体の組織が欠損状態や機能障害に陥った場合、幹細胞(細胞を供給するもととなる母細胞)などを用いることにより失われた機能を再生させる医療だ。そして、これに深くかかわっているのが幹細胞だ。幹細胞は私たちの血や臓器や皮膚の成長する元となり、失われた細胞を再び生み出す能力を持っている。
元々私たちの命は受精卵から始まり、受精卵が細胞分裂を繰り返すことで体ができている。そして、受精卵から分裂して出来た幹細胞が、毎日細胞分裂を繰り返し、失われた細胞を補充しているのだ。そして、決まった組織で細胞分裂を繰り返した幹細胞は受精卵時代の「何にでもなれる」能力を失ってく。
つまり受精卵は幹細胞の母といえる。その受精卵が数回分裂して得られるのがES細胞(胚性幹細胞)であり、受精卵を擬似的に目指したものがiPS細胞(人工多能性幹細胞)というわけだ。
ES細胞は受精卵そのものを使うため倫理的問題を抱えているが、何にでもなれる細胞として各方面で研究が進められている。特に外国では、そのコストからiPS細胞よりも主流だという。