一方、2006年に京都大学の山中伸弥教授が作製に成功した「夢の万能細胞」と呼ばれるiPS細胞は、皮膚などから採取される幹細胞に細胞を「初期化」する遺伝子(山中因子)を導入することで、「何にでもなれる力」をとりもどすのだ。
iPS細胞市場には大手製薬各社が進出し、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)や理化学研究所とタッグを組みながら研究が進められており、しかも政府がバックアップするといった活況ぶりだ。
例えば、がん免疫療法に関する研究では、製薬国内最大手の武田薬品工業、アステラス製薬、再生医療で先行する大日本住友製薬、協和醗酵キリンといった大手製薬企業がCiRAと共同研究を進めている。
再生医療の研究試薬の国内トップ、タカラバイオはヒトiPS細胞を販売する海外企業を買収し心筋細胞や膵臓細胞を販売する。また富士フイルムホールディングスは再生医療製品を販売するジャパンティッシュエンジニアリングを子会社化した。
再生医療に可能性を見出しているのは医療業界だけではない。美容医療業界でもアンチエイジングや薄毛改善、豊胸など幹細胞を使った様々な商品が開発され、あるいはすでに売り出されている。
iPS細胞を使った毛髪再生では資生堂がカナダのバイオベンチャーと技術提携して研究を進めていることで有名だが、実用化は2020年となる見通しだ。