一方、既に商用化されているものもある。例えばヒザ軟骨の再生や、美容クリニックでは脂肪幹細胞が、豊胸や顔のアンチエイジング向けの脂肪組織の増大に実用化されている。
再生医療を使った豊胸の費用は、自由診療であるがために100万円を超えるケースがほとんどだが、乳がん摘出後の乳房再建に貢献できる他、美容目線でも従来の脂肪豊胸と違って「しぼまない」効果が得られるという。
また、脂肪幹細胞が分泌する「ヒト由来幹細胞培養液」は肌の自己再生能力を引き出すアンチエイジング美容液として注目されている。
夢の万能細胞iPS細胞の誕生から早10年が経ち、様々な再生医療ビジネスが芽吹いてきたが、この先数十年で驚くような医薬品や美容法が生み出されることになるだろう。
文■小池麻千子(グローバルリンクアドバイザーズ):アナリストとして企業リサーチを担当。訪問企業は海外企業を中心に多数。企業訪問・分析で培ったファンダメンタルズ分析を用いたボトムアップリサーチによる銘柄選定を得意とする。