その後、39才で長男を出産。同年、ついに医学部に合格。
「でも、大学で進級することは想像以上に厳しく、何度か留年してしまいました。特に3番目の子(次男)を産んだ後は試験に失敗し続け、2年留年。結局、卒業するのに9年かかりました」
在学中は、公園に子供を連れて行くときも家事をするときも、テキストは肌身離さず持ち歩き、目を通していた。
「問題を暗記するまで繰り返し解きました。一冊丸ごと頭に入れることで“どんな問題が出ても大丈夫”という自信にもなりました」
だが、勉強は受験で終わりではなかった。
「特に医学部時代、頭に入れたことは必ず誰かに説明していました。たとえば『糖尿病はこんな症状があって、どういう治療がある』など、家族や友人に説明することで、頭の中が整理され、さらに頭の中に叩き込まれる。この繰り返しが、重要だと思います」
【プロフィール】
前島貴子さん/1965年3月、島根県出身。「目の前にいる患者をなんとか救いたい」という信念のもと、7浪の末、医学部に合格。53才で医師免許を取得。2021年から愛知県内の病院に勤務。家族は、塾を経営する夫(45才)と19才の長女、17才の長男、13才の次男。
取材・文/廉屋友美乃
※女性セブン2021年6月17日号