こうした会議を成立させているのは、皆が自分の下で働くスタッフを連れてこないことでしょう。もし、それぞれが余計なスタッフを連れてきていたら、挨拶・名刺交換から、ちょっとした雑談にまで時間を取られがち。それだけでなく、連れてこられたスタッフも「私も何か言わなくちゃ存在意義がないから……」と、爪痕を残そうと発言する。こうなると、会議の時間はどんどん長くなります。
ちなみに上で登場したA社は、誰もが名前を知っている大企業です。よく大企業ほど図体が大きくて機動性に欠けるなどと言われたりもしますが、そんなことはありません。大企業でも“よい会議”を実践できるのだから、他の会社でもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『恥ずかしい人たち』(新潮新書)。