ペットフードを筆頭に保険、美容、葬儀と多種多様
「2021年中国ペット消費趨勢白書」によれば、2020年における中国のペット市場規模は3000億元(5兆1330億円、1元=17.11円で計算、以下同様)弱であり、2015~2020年までの6年間の平均伸び率は32.8%となった。今後3年間の年平均伸び率は14.2%増、2023年の市場規模は4456億元(7兆6242億円)に達すると予想している。
種類別(2020年、市場規模ベース)では、犬が一番多いが、猫が近年急速に追い上げており、合わせて65%のシェアを占める。続いて、熱帯魚、鯉、金魚などの魚系が16%、鳥類、爬虫類、兎が9%、げっ歯類が6%、両生類が4%である。
消費対象別では、食料(主食のペットフード)が950億元(1兆6255億円)で最も大きい。前述同様の年率換算では34.5%増となっており、犬猫用が95%を占めている。
煙台中寵食品(002891)はこの業界のトップ企業である。犬猫用のペットフードを生産。自社ブランド「頑皮」、「真致」などを展開するほか、海外企業のODM/OEM(相手先ブランドによる生産および設計・製造)なども手掛けている。2020年12月期業績は30.1%増収、70.7%増益、2021年1-3月期業績は50.2%増収、155.5%増益と収益の伸びは加速している。
ペットフード以外では、おやつ、保健品、日用品、医療サービス、ペット保険サービス、美容サービス、ペット販売から葬儀サービスまである。こうした事業を展開する有望な上場企業はまだ出てきてないが、中国本土系ベンチャーキャピタルはこうした分野への投資を急拡大させている。
中国市場は大きい。ペット産業では日本が先行している分野も多く、日本の関連企業にとっても大きなビジネスチャンスとなる。ペット関連の目新しいサービスとして、中国ではペットのライブ配信も人気化しているようだ。
ペット産業の発展につれて、広告宣伝のニーズも高まっている。アミメニシキヘビをみたいという人は少ないだろうが、日本の柴犬などは中国をはじめ、世界で非常に人気が高い。中国、世界に向けて柴犬や三毛猫の映像をYouTubeで配信するといったビジネスも成立するかもしれない。潜在的に多くのスポンサーがいることは十分に予想できる。まだまだペット産業は拡大を続けていくだろう。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も発信中。