樺沢さんはその理由について「ホルモンが関係する」と分析する。
「人と触れ合うとオキシトシンというホルモンが分泌されます。通称“幸せホルモン”と呼ばれるオキシトシンは免疫力を高めて細胞の新陳代謝を促す『若返り物質』であり、健康を促進する効果があります。一方で孤独な人はオキシトシンが分泌されないため、老化が進むと考えられます」
在宅医療や看取りに詳しい立川在宅ケアクリニック院長の荘司輝昭さんも声を揃える。
「孤独を感じた人は『自分は誰からも必要とされていない』という思考にのみ込まれ、ストレスがたまった結果、免疫力低下や睡眠障害のリスクが高まります。それと同時に、生きる意味を見いだせなくなれば、食事が粗末になって充分な栄養補給ができず、家に閉じこもりがちになれば体力が低下して骨折の危険が増す。人と接する機会が減って脳への刺激も減少し、認知症リスクも高まります」
まさに毒のごとく、孤独は全身を駆けめぐる。
※女性セブン2021年6月24日号