田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国の配車アプリ・滴滴出行が米上場へ 超大型IPOを取り巻く利害関係者たち

滴滴出行の米上場は今年最大規模のIPO案件になると可能性も(Imaginechina/時事通信フォト)

滴滴出行の米上場は今年最大規模のIPO案件になる可能性も(Imaginechina/時事通信フォト)

 中国本土最大の配車アプリ企業である滴滴出行(DiDi)は6月10日、アメリカ証券取引委員会に上場申請(ティッカーはDIDIを予定)を行った。

 上場のための業務を主導するのは欧米系投資銀行である。引受幹事団はゴールドマンサックスを筆頭に、モルガンスタンレー、JPモルガンなどが名を連ねている。中国系では、中国企業の引受業務を主要業務とする華興資本(香港上場、01911)が加わっている。

 現段階ではIPOの規模がどの程度になるのかはわからない。しかし、現在の時価総額は、類似会社であるUberとの比較から600億ドル(6兆5400億円、1ドル=109円で計算、以下同様)~1000億ドル(10兆9000億円)程度と推測される。ちなみに、Uberの現在の時価総額は1000億ドル(10兆9000億円)弱である。こうしたデータから発行規模を類推すると、今年最大クラスの大型案件となる可能性もありそうだ。

 上場申請資料によれば、2020年12月期の売上高は1417億元(2兆4089億円)。前年同期と比べ8%減少した。利益面では106億元(1802億円、1元=17円で計算、以下同様)の赤字。前年同期も赤字で赤字幅は9億元(153億円)ほど拡大した。

 滴滴出行は中国を始め、15か国、4000以上の都市で事業を展開。インターネットを使った配車、タクシー、乗り合いタクシー、自転車(電動自転車)シェア、運転代行、送迎サービス、貨物輸送から金融、自動運転まで、幅広く業務を展開している。収益は多様化しているようにもみえるが、実態は売上高の94%は中国本土での売上であり、また、その大半を配車を含めた広い意味でのタクシー関連業務が占めている。

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