「ホンマかいな!?」──思わずツッコみたくなるようなランキングが6月9日に発表された。英誌『エコノミスト』の「世界で最も住みやすい都市」(2021年版)で、オークランド(ニュージーランド)に次いで、大阪が2位にランクインしたのだ(東京は4位)。
同誌の調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)」によると、上位の都市は「新型コロナのパンデミックの封じ込めに成功したことで社会の開放性が保たれた」ことが評価されたという。
しかしながら、大阪といえば新型コロナによる死者数が国内最多、吉村洋文府知事は「医療崩壊」を訴え、自衛隊などに看護師派遣を要請するほど追い詰められている。
「世界の都市総合力ランキング」(都市戦略研究所)の責任者で明治大学名誉教授の市川宏雄氏が言う。
「このランキングは大阪を贔屓することで知られています。私どものランキングでは東京は3位、大阪は33位。文化、交通の利便性、治安などの面で東京のほうが評価が高かった」
高評価の理由をEIUのアプサナ・ダット部門長に訊いた。
「大阪は『安定性』と『インフラ』の高さが評価されました。犯罪率が低く、騒乱などが起きにくい。また調査期間中(2月22~3月21日)はコロナ感染拡大が顕著ではなく、諸外国と比べて医療制度にも逼迫は見られませんでした。たしかに最近は状況が悪化していますね」
調査期間の影響もあったようだが、大阪府の刑法犯認知件数(人口10万人あたり)は日本一である(2020年)。ますます選出理由が分からない。