実際、こんなケースもあった。投資初心者のA氏は、「ワクチン接種が本格化すればビール業界の株価が上昇するはず」と、今年3月、サッポロホールディングス(HD)株を1株2400円で100株仕込んだという。
「コロナが収束すればビールなどの飲料事業はもちろん、サッポロHDの収益の柱である不動産事業も良くなるはずだと思ったのですが……。4月から下落が続いて今も上昇機運が見えない。同じビールでもアサヒGHD株を買っていれば、1割以上株価が上がっていたのに」(A氏)
平野氏が言う。
「同じ業界でも値上がりする株、しない株があります。コロナ収束後は、外食関連が息を吹き返す一方、自粛期間で“家飲み”の良さを実感した人は、以前ほど足を運ばなくなるかもしれない。航空や電鉄など旅行関連も同様です。
これから投資を考えるなら飲食、レジャー、陸運・空運などのリバウンドを狙うより、今後も息の長い上昇が期待され、コロナ禍でも業績を伸ばしたIT関連や半導体関連、DX(デジタルトランスフォーメーション)関連などの成長銘柄に目を向けたい」
ワクチン後の世界では経済活動が再開するので、“守り”ばかりではチャンスを逃すが、大儲けを狙うと火傷をしかねない。
※週刊ポスト2021年7月2日号