ワクチン接種が広がるとともに、お盆や年末年始の帰省も増えていくのではないだろうか。久しぶりに親子が顔を合わせた際には、“もしも”のときについて、話し合っておきたいものだ。
家族のためを思って加入している生命保険について、しっかり話し合っておかないとトラブルの原因になりかねない。相続・終活コンサルタントで行政書士の明石久美氏はこう言う。
「配偶者のみが受取人の場合は問題になりにくいが、特定の子供が受取人となっている場合は、その理由を説明しておくほうがよいでしょう。“葬儀費用に回してもらうためだ”といった説明を家族たちの前でしておけば、それ以外の用途に使われることもないでしょうし、受け取れない子供たちも納得しやすい」
子供たちが介護に消極的になるリスクも
遺産の分け方を遺言書で残しておけば、方式などの不備がない限り、原則として強制力が発生する。ただ、その内容をあらかじめ細かく家族に伝えておくかは、難しい問題だという。
「親が生前に遺言書の内容を子供たちに伝えることで、かえってトラブルになるケースもあります。どうすれば“公平”になるかは、家族の事情によって異なり、“均等に分けないのは不公平だ”という話になることもあれば、親の介護を担う兄が多く相続することを要求したり、過去に贈与が多かった弟の配分を減らせという話が出たりもする。遺言書に、“遺産は均等配分する”と書いたことを明かしてしまったことで、子供たちが親の介護に消極的になるリスクもあります」(明石氏)
何も考えずに遺言書の内容をすべて家族に伝えるのではなく、弁護士や行政書士など相続業務を行なっている専門家に家族の事情を相談しながら、伝え方を検討するのが望ましい。