秋篠宮家長女・眞子さまの婚約内定者の小室圭さんが4月に発表した28枚の文書は、さまざまな面から注目を集めた。そこでは、小室さんの母の元婚約者からの約400万円の金銭援助は「借金ではない」と主張しており、その“証拠”として録音テープの存在を明らかにしている。
近年は様々な事件やトラブルで、音声データが決定的証拠となるケースが散見される。ICレコーダーなどの録音機器はコンパクトになり、手ごろな価格で購入できるようになった。また緊急の場面ではスマホで録音することも可能だろう。
しかし、こうした音声データは相手の了承を得ずに録音した場合でも、裁判で使用できるのだろうか。裁判で証拠として認められるには条件などあるのか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
あの「小室さん文書」における録音テープの存在が話題になっています。それにしても、モメた場合に備え、録音テープを使用するのはいかがなものかと思いますし、果たして裁判で採用されるのかも疑問。それでも私のような一般人が、どのような話し合いのときに、録音テープを使用すれば、有効となるのか知りたいです。
【回答】
隠し録りは、紳士的ではないですが、録音しないと身を守れない場合もあります。また、「言った、言わない」の争いになる場合や文章では表現しきれない微妙なやり取りがあるケースなどでは、録音もやむを得ないと思います。
録音データは、裁判では準文書として、文書に準じる扱いを受けます。証拠として裁判所に提出する意味は、録音されている会話などの内容や状況を裁判所に認識してもらうことにあります。法廷で再生するのが理想ですが、時間がかかるので、録音内容を文書化(反訳)し、一緒に提出します。
録音データが隠し録りの場合、証拠として認められるかの問題は、証拠能力の議論です。厳格、かつ詳細な証拠収集のルールが定められている刑事裁判とは違い、民事裁判の手続きを定める民事訴訟法には、そもそも証拠能力について規定する条文はありません。即ち、制限が定められていないということになります。