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ベイスターズの集客を倍増させたDeNA社長が描く「横浜の街の未来像」

DeNA・岡村信悟社長(撮影/山崎力夫)

DeNA・岡村信悟社長(撮影/山崎力夫)

プロ球団は「公共財」

──まったく異分野への転身、しかも最初に任された仕事は球団本拠地の運営会社「株式会社横浜スタジアム」の社長でした。さらに2016年10月からは横浜DeNAベイスターズの社長に就任します。

岡村:横浜スタジアムは横浜市所有ですが、ちょうどその時期にDeNAがTOBでその運営会社の株式を取得しました。南場から最初に任されたのが、その経営の仕事でした。

 まったくの門外漢のように見えて、私にとっては「得意分野」の仕事でした。かつて市役所に出向していたこともあるので行政との付き合い方はわかっているつもりでしたし、横浜DeNAベイスターズも横浜スタジアムも、「公共財」としての役割が大きい。南場も、まさにうってつけと考えたのでしょう。

──とはいえ、いきなりスタジアムや球団の経営は大変だったのでは?

岡村:苦労というより、やりがいに満ちていましたね。多くの人たちを巻き込みながら、球団とスタジアムを横浜市民にとってより大きな価値のあるものにしていくために、何ができるかを常に考えていました。

 そこで計画したのが、従来のプロ野球経営の枠を越えた「横浜スポーツタウン構想」とでも呼ぶべきものです。横浜スタジアムを起点に周辺エリアに街の賑わいを作る。つまり、スポーツで人と街を元気にするというミッションです。

 現在はコロナ禍もあり比較が難しいが、2019年の来場者数は228万人で、ベイスターズがDeNAグループに入る前の約2倍になりました。熱心なファンも増え、より球団は横浜市民に身近なものになっていると思います。

──今後の計画は?

岡村:2025年には、球場に隣接する横浜市庁舎跡地の再開発が完成します。この再開発は当社を含めた8社の共同事業で、我々も国内最大級のライブビューイングアリーナや、VR(バーチャルリアリティ)などを駆使して楽しみながら学べるスポーツ体験施設を作ります。

 テレビ放映権に大きく依存した従来型の球団経営ではなく、積極的にスポーツや球団の魅力を市民に伝えていきたい。そして魅力ある施設を提供し、新たな都市空間を創造していきたいですね。

──最近はプロ野球以外の事業展開も積極的です。

岡村:プロバスケットボール「Bリーグ」の川崎ブレイブサンダースや、サッカー・J2リーグのSC相模原の経営に参画しています。横浜市、川崎市、相模原市という神奈川県の約3分の2の人口を占める3市を巻き込んで、スポーツを軸に賑わいのある街づくりに携わっていける意義は大きいと考えています。

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