現在放送中のNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』。清原果耶演じる主人公・百音が目指す「気象予報士」という仕事に改めて注目が集まっているが、劇中で語られたおよそ「5%」という気象予報士試験の合格率に驚いた人も多いのではないだろうか。気象予報士の田家康さんが、気象予報士試験の仕組みと一人前の気象予報士になる難しさについて、実体験をもとに解説する。
* * *
宮城県気仙沼育ちの主人公・百音が、気象予報士を目指し成長していく姿を描いた朝ドラ『おかえりモネ』。百音の笑顔がお茶の間に明るい朝を届けてくれるだけでなく、百音の就職先である森林組合が植林事業をしていたり、高校生の妹・未知が震災復興の象徴とも言える牡蠣養殖のための稚貝作りを夏休みの研究テーマにしていたりと、物語の細かな設定も素晴らしく、毎日の放送を楽しみに見ている人も多いだろう。
劇中では、気象予報士になることを決意した百音が書店で参考書を開いた際、試験の合格率が約5%と知り思わずひるむシーンがある。最近はアイドルや芸人の資格保有者が増えていることもあり、100人に4~5人しか受からない難関国家資格であることを意外に感じた視聴者も多かったようで、改めてその難しさに関心が集まっているようだ。
1994年から開始された気象予報士試験には、「学科試験」と「実技試験」がある。午前中に学科試験として、選択式の「予報業務に関する一般知識」と「予報業務に関する専門知識」の2つがあり、各15問のうちそれぞれ11問正解すると科目合格となる。午後は記述式の実技試験が2つあり、実際の予報業務を想定した設問が出題される。
たとえが適切かどうかはわからないが、午前中の学科試験は、司法試験で言う短答式の予備試験のようなものと言える。司法試験には、法科大学院から受験するコースと予備試験から目指すコースの2つがあるが、ゼロから始める受験という意味では、気象予報士の学科試験は司法試験の予備試験と似たところがあるのではないか。それゆえ、学科試験のハードルを突破して初めて、気象予報士としての基礎的な技量を満たしたと見なされる。