「布マスクの時は替えをたくさん用意したし、洗えばまた使えるので、お金を気にすることなく汚れたら頻繁に交換していました。でも不織布マスクとなれば、使い捨てですので金額がかさみます。1枚当たりの金額は決して高いわけではないですが、毎日何枚も使われてしまうと……。家計へのダメージも大きいです」
金銭的負担を軽減させるために、色付きの無地の不織布マスクを提案。しかし神田さんの息子は納得してくれず、最終的にはマスク着用を渋るようになってしまったという。
「仕方なく、割高なデザイン付きの不織布マスクを購入しています。そのことを夫に相談すると、『俺も子供が好みそうなコスパの良い子供用不織布マスクを見つけたら買っておくね』と言ってくれたんです。その時は家族思いのいいお父さんだと思ったんですが……」
神田さんの話によると、夫は四六時中スマートフォンを眺め、通販サイトで子供用不織布マスクを探しているという。しかしその様子は、明らかに別のことをしているそうだ。
「子供用不織布マスクを探していると言っていますが、毎日長時間見るほどのものでもありません。しかもいつまで経っても見つけてこない。怪しいと思い後ろから覗いてみると、SNSでバズった投稿を見ていたんですよ。信じた私がバカでした」
不織布マスク探しがスマートフォンを操作する理由付けに使われてしまったことがショックだった神田さん。そのことが原因で会話もしたくなくなってしまったそうだ。とはいえ、このまま不仲を続ける気はなく、どのように関係回復すべきか、きっかけを探しているという。
私たちは新型コロナウイルスと向き合う生活を1年以上も続けている。心身ともに疲弊している時だからこそ、相手の気持ちに立って物事を考えることが大切なのかもしれない。1日でも早く、マスク着用なしの日常が取り戻せることを願うばかりである。