「論破したもの勝ち」の風潮に違和感
相手を論理的に打ちのめすことでマウントを取る風潮は、研究者を志す大学院生の中でも見られるという。国立大学の大学院に通う男性・Bさん(24歳)は、こう語る。
「大学院では基本的に、講義以外はゼミでの発表やディスカッションがメインですが、とにかく相手の粗を探して論破しようとする院生は少なくありません。そうなると、どうしても陰険なムードが漂いがちです。特に男性の研究者が女性の研究者に向けて、上から目線で論破するというシチュエーションは非常によく目にします。
また今に始まったことではありませんが、学会発表では年長の研究者が若い研究者に向けて、知識量を振りかざして『論破してやった!』という場面も珍しくありません。ディスカッションで大切なことは、論理的な思考のもとに、相互理解を深めることだと思う。エンタメとしての論破コンテンツを間に受けて、『論破したもの勝ち』という空気がこれ以上、広まらないでほしいというのが本音です」(Bさん)
学生・大学院生たちの間に広まりつつある「論破したもの勝ち」の風潮に、苦々しい思いをしている人も少なくないようだ。