3度目の緊急事態宣言が解除され、宣言延長の沖縄を除く東京や大阪などの7都道府県が、まん延防止等重点措置へと移行している。同措置が適用中の10都道府県の対象地域では飲食店への時短要請はあるものの、感染症対策を行い一定の条件をクリアした店舗であれば、東京の場合は1グループ2人まで90分以内という制限のもと、酒類提供が19時まで可能となった(具体的な提供条件は自治体により異なる)。不自由が続く中、友人4人と“公園飲み”を決行した50代男性に、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。
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コロナ前のように飲食店での飲酒が難しくなった影響から、コンビニなどでお酒を調達し、繁華街の路上や公園などで仲間と集まって飲酒する姿が目立つようになった。一部では空き缶を放置したり、大声で騒ぐなどマナーの悪い人もおり、世間からは厳しい視線が注がれている。学生ら多くの人が集まる東京・高田馬場の駅前広場では以前から路上飲みが問題となっており、都職員による声掛けが行われたが聞く耳を持つ人は少なく、5月には広場を完全封鎖せざるを得ない状況となった。
妻と2人暮らしの都内在住の会社員、石上和樹さん(仮名・55歳)は、親しい友人たちと公園飲みをしたことを話してくれた。このご時世にもかかわらず開催した背景には、友人たちのさまざまな事情があったようだ。
「私には10年以上付き合いのある50代の飲み友達が4人います。しかしコロナの影響で、会いにくくなってしまいました。友人とお酒を飲むことでストレス発散をしていた身としては、今の状況は仕方がない事とは言え本当に辛いです……」(石上氏、以下同)
石上さん曰く、同居の妻とはあまり仲が良くないという。そのため、自宅でお酒を飲む気にはなれないそうだ。書斎で一人飲みを楽しむ日もあるものの、全く楽しくないと話していた。
「飲み友達に連絡をしてみると、私と一緒でそれぞれが悩みを抱えていることが分かりました。コロナの影響で収入が下がった人もいれば、ステイホームがきっかけで夫婦ゲンカが絶えないと言う人も。皆ストレスが溜まっているんだな……って思いましたよ。そこで思い切って、久しぶりに会うことを提案してみたんです」