アメリカが9月に利上げをするかに注目が集まっている。ドル/円相場はどのように動いていくのか、為替のスペシャリスト、松田トラスト&インベストメント代表の松田哲氏が解説する。
* * *
外国為替市場における直近の関心は、9月に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げが決まるか否かに向かっている。仮に9月に利上げを実施すれば、世界の通貨は円を除き、「米ドル高」がより鮮明になるだろう。
しかし、米ドル/円だけは特殊な動きをし、「円高・ドル安」に向かうと考えている。
基本的にFOMCで利上げが決まることは、ドル買いの材料になる。円もその瞬間は円安方向に振れるだろう。だが、9月にドル金利が上昇したとしても、円高トレンドの流れは止まらないと私はみている。
2012年にドル高・円安にトレンド転換してから、2015年末ごろまでがドル上昇局面だった。ところが、今年1月4日に1米ドル=120円を割り込んだ後、ずっと円高方向に進み、8月現在は100~103円台で推移している。大きな流れでみると、こうした相場は半年程度では終わらないものだ。今年後半は円高方向にもう一段進んでいく可能性が高く、90円台のゾーンに入ることも考えざるを得ない。
6月24日、欧州連合(EU)離脱を問う英国の国民投票で離脱派が優勢との見方が広がると、一時99円まで円高・ドル安が進んだ。ドル/円が100円を割れるのは2013年11月以来、約2年7か月ぶりのことだったが、この時は99円のラインは守られた。
日銀の金融政策決定を受けて7月末に一時100円台まで円高に向かう局面もあったものの、その後発表された7月の米雇用統計が市場予想を上回る改善をみせたことから、8月中旬現在は少し落ち着きをみせている。
当面は下値99円~上値108円の範囲で動くのではないか。だが、時間の問題で、いずれ99円を割れるだろう。早ければ、FOMCが開かれる9月の可能性もある。