近年利用者が増加しているネット銀行や仮想通貨などのデジタル遺産にも注意が必要だ。
「デジタル遺産の管理や解約に必須のIDやパスワードは、必ずエンディングノートなどに記録しておく。それを怠ると、亡くなった後に見つけられず、そのままとなり妻のものにならないリスクがあります」(曽根氏)
このように夫婦間での相続をスムーズにする備えだけでも、それなりに手間はかかる。ここに「子供にどれだけ残すか」「長男と次男への分配はどうすれば公平になるか」といった要素が加われば、どんどん煩雑になっていく。曽根氏が言う。
「最近は親と同居する子供世帯も減り、“子供に残さないといけない”という考えも薄れてきました。それならいっそのこと夫婦で築いた財産をふたりのために使おうと考えて、趣味に使う、日々の生活にかける、高齢者施設の費用にするなど快適な人生のための消費としてもいいはずです」
健康寿命が延び、人生の最終盤を自己実現の期間にする考えもある。
※週刊ポスト2021年7月30日・8月6日号