英国留学でボランティアのあり方を考える
その後、学費免除の奨学生に応募し、英国ウエストミンスター大学への1年間留学を果たす。
英国では、国際的なボランティア団体の『オックスファム』で、ボランティアのあり方についての意識を新たにしたという。
「たとえば、リサイクル品を扱うチャリティーショップでは、元図書館司書はきれいに本を仕分けし、掃除が大好きなおばあさんは棚の裏をピカピカに磨き、元ブティック店員はディスプレーに励む。それぞれが自分のスキルを提供することで、誰もが無理なくボランティアを実践していたのです。
『私のスキルを生かすならチャリティーコンサートかな』とつぶやいたら、周りの仲間が手助けを申し出てくれて、結果的にロンドンのセントジェームズ教会でのコンサートが実現。寄付もたくさん集まりました。私の行動って、いつもなりゆきなんです(笑い)」
こうした経験が基盤となり、2006年にNPO法人『国境なき楽団』(現・市民団体『国境なき楽団PLUS』)を設立。音楽を軸とした障害児などへの支援活動を続けている。
「これまでずっと、歌手という職業にとらわれず、興味の向く方向に突き進んできました。興味を持つきっかけは周りにたくさんあるから、何を、いつ、キャッチするかが大切なんだと思います。自分はいま何に興味があるの? 何を知りたいの?と、常に自分に対する問いをたくさん持っておくと、必ずそれに結びつくものが見つかると思います」
岐路に立つたび、「いましかできないことをする」を判断基準にしてきた庄野。その決断が、彼女の柱となる歌とボランティア活動に大きな影響を与えている。
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2021年7月29日・8月5日号