家計

引きこもり長男が寝たきりに… 78才女性は「貯金ゼロ生活」をどう脱却したか

子供とは世帯分離し生活保護申請を

生活保護の対象者と基本的な受給条件

生活保護の対象者と基本的な受給条件

「家族だからと、大人になったわが子の面倒を見続ける親は多い。しかし、自分の生活が苦しいのに、世帯を同一にして養うことはおすすめできません。貯金などの金融資産がなく生活に困窮したら、生活保護の申請を検討してほしいのですが、親子で世帯が一緒だと申請が通りにくい。

 七子さんの場合、長男は本来、無収入のため生活保護を受けられます。ところが、A子さんと世帯を一緒にしていることで、七子さんの年金収入が長男の『世帯収入』とみなされ、受給条件に該当しないと判断されたのです」(藤田さん)

 そこで検討したいのが、「世帯分離」だ。七子さん親子の場合、長男が入院をし、治療費が払えなくなってソーシャルワーカーが異変に気づき、長男との「世帯分離」と「生活保護」の手続きを指南。これにより、長男は生活保護の申請が通って、月約15万円が受給できるようになった。

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高額療養費制度を利用した医療費自己負担額

高額療養費制度を利用した医療費自己負担額

 そして長男はいま、ソーシャルワーカーや長女が探してくれた、サービス付き高齢者向け住宅に入居。ここの生活費は、居住費やヘルパー代、リハビリ代込みで約14万円。生活保護のお金で充分賄える。

「私は今年1月から、年金でひとり暮らしをしています。おかげで月2万円ずつ貯金ができるようになりました。長年、子供は自分で面倒を見なければいけない、人に迷惑をかけてはいけないと思い込んでいて、こういう制度があることを知ろうとしませんでした。今後は積極的に制度を活用したいと思っています」(七子さん)

 七子さんの長男の医療費も、1か月150万円だったが、「高額療養費制度」の活用で、1か月3万5400円に激減した。これは、その月の自己負担限度額を超えた金額が払い戻される制度で、窓口で立て替える費用も「限度額適用認定証」の交付により、自己負担限度額までで済む。

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