トレンド

日本では7種類!「鉄道の信号」を知れば電車に乗るのがもっと楽しくなる

鉄道開業当初はルートシグナルだけだった

 19世紀初めのイギリスで鉄道が誕生した頃の信号はルートシグナルであり、「停止信号」と特に条件も無く前方に進んで良い事を示す「進行信号」しか存在しなかったという。しかし、列車が速く走るようになり、駅の直前に設置されている場内信号機が停止信号を示しても、運転士が気付いた時にはブレーキが間に合わないという状況が起きてしまった。そこで、場内信号機が示す停止信号を予告する遠方信号機をその手前に置くことで、遠方信号機が「注意信号」の役割を果たす方法が考案されたのだ。列車の運転士は注意信号を確認したら、次の信号は停止信号だと予測して速度を下げられるようになった。ちなみに、具体的な制限速度は無かった。というのも、当時の車両に速度計は付いていなかったからだ。

 イギリスの鉄道で注意信号が誕生した正確な時期は分からなかったが、同国の鉄道技術が日本に伝えられた1870年頃には存在したと考えられる。1872年に開業した日本初の鉄道には、停止信号の手前に遠方信号機が設置され、それが注意信号の役割を果たしていたからだ。

 不思議なことに、日本初の鉄道の注意信号は今日の進行信号と同じ緑色であったという。ならば進行信号の色はというとこちらは白色で、しかも「無難信号」と呼ばれていた。ちなみに、停止信号は今と同じ赤色ながら、呼び名は「危害信号」とやや物騒な言い方だったそうだ。

 今日の日本の鉄道では、信号の種類は7つある。停止信号、警戒信号、注意信号、減速信号、抑速信号、進行信号、高速進行信号だ。減速信号は、時速65kmまたは時速75km以下で進んで良いという信号で、緑色と橙黄色を点灯させて示す。この先に現れる信号は注意信号または警戒信号であると予想されるから、速度を落としておくようにという意味となる。

 抑速信号は、時速105km以下で進むことを示す。こちらは緑色と橙黄色とが同時に点滅し、この先に現れる信号として注意信号または減速信号が予想されるという意味を持つ。抑速信号は京浜急行電鉄、京成電鉄、北総鉄道にしか存在しない。

 緑色の点灯で示される進行信号は、その区間で認められている最高速度で走って良いという意味だ。ならば高速進行信号とは何だろうか。実は、この高速進行信号がある区間を走る車両の一部は他の車両よりも速いスピードで走行可能なので、その車両向けに最高速度で走って良い事を示しているのだ。高速進行信号は京成電鉄成田空港線の特急列車「スカイライナー」だけに対して見られ、2灯の緑色が点灯していたら時速160kmで走行可能だ。

 信号の種類は7つながら、普段多くの人が目にする鉄道の信号の種類はここまで多くない。京浜急行電鉄、京成電鉄、北総鉄道の一部の信号が全国最多で、停止、警戒、注意、減速、抑速、進行の6種類となっている。

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。