昨年からの新型コロナウイルス感染拡大によって、多くの映画館が一時的な休業や、観客数を制限しての営業を強いられることとなり、新作映画の公開延期も相次いだ。そうした流れと並行するかたちで、劇場公開とほぼ同時にネットで配信する作品も増えている。
たとえば、ディズニー映画の『ムーラン』(2020年9月公開)、『ラーヤと龍の王国』(2021年3月公開)、『クルエラ』(2021年5月公開)、『ジャングル・クルーズ』(2021年7月公開)、そしてマーベル・シネマティック・ユニバースの『ブラック・ウィドウ』(2021年7月公開)は、それぞれディズニー関連の映像コンテンツを扱う動画配信サービス『ディズニープラス』の「プレミアアクセス」で、劇場公開とほぼ同時に配信された。「プレミアアクセス」はディズニープラス会員向けのサービスで、ディズニープラスの基本料金のほかに、3278円(税込み・以下同)を追加で支払うと、作品を観られるというものだ。
日本映画でも、ピース・又吉直樹原作の『劇場』が2020年7月17日に劇場公開されると同時に、Amazonプライム・ビデオにて配信が開始。また、人気漫画を原作とした綾野剛主演の『ホムンクルス』は2021年4月2日に劇場公開され、同22日からNetflixで配信された。この2本の作品は、配信サービスの会員であれば、追加料金なしで観ることができる。
いまや新作映画が自宅で観られる時代。しかも、『劇場』や『ホムンクルス』のように追加料金なしで観られるならばお得感も強いように思える。しかし、劇場であれば1本1800円か1900円で観られるのに、3000円以上の追加料金が必要となる場合は、多少の割高感を感じる人もいるかもしれない。エンタメ事情に詳しいライターの大塚ナギサ氏はこう話す。
「ディズニープラスのプレミアアクセスは、購入した映画作品を何度も観られます。スマホやパソコン、テレビなど、登録している端末ならどれでも観られるというのも大きなメリットでしょう。また、一定期間が過ぎると、ディズニープラスの見放題ラインナップに追加されるので、継続して観ることもできます。
感覚としては、作品のデジタルパッケージの購入に近いものだと思います。そういう意味では3000円程度という価格設定は、納得できるものだと感じます」