テレビの見逃し配信、YouTubeにライブ配信、サブスク動画――。至るところに動画コンテンツがあふれている時代、すべてを見るには時間がなさすぎる、と感じる人も少なくない。コロナ禍の巣ごもりで家にいる時間が増えても、動画だけに時間を費やすにはやはり無理がある。あふれる動画の視聴方法も、時代に合ったスタイルに変化しつつあるようだ。
メーカーに勤務する20代の男性会社員・Aさんは、動画の時間の長さによって視聴方法を変えている。「時間がないというより、集中できないから」と話す。
「動画を等倍で見ることは滅多にありません。例えば、YouTubeなら、10分くらいの動画は倍速以上。10~30分ならシークバーで飛ばすか、チャプターで飛ぶことが多いですね。30分以上だと、動画のコメントを参考に面白そうな箇所にジャンプ。切り抜き動画を活用するイメージです。YouTuberのダラダラとしたトークの部分とか、ずっと見てられいられませんね」(Aさん)
映画やアニメ作品などはどうか。
「90分ほどのものは、倍速を基本に、飛ばしたりしながら視聴しています。アニメの1話分、20分弱でも長いと感じるので、倍速にすることがあります。オープニングやエンディングをスキップして、あとは適度に飛ばしながら、かいつまんで見る感じです。Wikipediaで確認すれば設定や内容は把握できますし、漫画をパラパラ読んでいる感覚に近いです。もはや最近はネタバレや感想を読んだだけで、“見たつもり”になっていることも多いです。見たことはないんだけど、内容は知っている、という」(Aさん)
都内の私立大学に通う20代の女子大学生・Bさんは、基本的に動画をリアルタイムで視聴しない。ライブ配信やラジオはアーカイブ、テレビは見逃し配信、映画は作品によるものの、基本的には映画館ではなく家や移動中に見ることが多いそうだ。
「空き時間にまとめて視聴することが多いです。リアタイで見ることはほとんどありません。時間に縛られるし、何より倍速したり、飛ばしたりすることができないのが苦痛ですから。最近、よく韓流ドラマを見るんですが、字幕もあるので倍速が快適。日本のドラマより1話が長いので、そうしないと時間ばかり取られる。TikTokの倍速動画に慣れていると、普通の動画が遅く感じて仕方ない。何でも倍速です」(Bさん)