木造家屋“密集地域”では地震火災で41万棟が全焼の想定
内閣府の想定では、地震後の火災で最大41万棟が全焼し、想定死者2万3000人のうち7割(1万6000人)が火災で亡くなると想定されている。
リスクが高いのは、山手線の外側から環状7号線の内側に広がる木造家屋の密集エリアだ。2010年の東京都「防災都市づくり推進計画」のマップによれば、品川、目黒、中野、世田谷、豊島、荒川、足立、墨田、葛飾区などに集中している。
津波よりも液状化に懸念
大災害といえば忘れられない2011年の東日本大震災で記憶に残ったのは、東北を襲った津波による甚大な被害だった。一方で関東では、東京湾沿いや利根川流域などで液状化現象が起き、建物は傾き、道路が陥没した。
首都直下地震による津波、液状化被害はどうなるのか。東京大学地震研究所の古村孝志教授が指摘する。
「過去、房総半島沖を震源とする元禄関東地震(1703年)では、相模湾の鎌倉や千葉・房総半島に最大10mの大津波が押し寄せましたが、入り口が狭い東京湾の内部にまで巨大津波が入り込む心配はしなくて良いでしょう。津波よりも、強い揺れによる港湾地域の液状化と建物、道路被害が懸念されます」
図制作/タナカデザイン
※週刊ポスト2021年8月20日号