「働き方改革」により厚生労働省の「モデル就業規則」から「副業禁止」の項目が削除された2018年以降、大企業などを中心に副業解禁の流れが続いている。この1年余りの間は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、本業の収入減少や将来不安などから「副業」について検討する人が増えているようだ。とはいえ、副業すれば誰でも収入が増えるというわけではない。最近、副業を始めたという30代男性会社員に、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。
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副業への興味関心は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で更に大きくなったようだ。フランチャイズビジネスの情報サイト「フランチャイズWEBリポート」が今年4月に実施した副業に関するアンケート調査(4000人以上が回答)によると、約6割が「副業に興味がある」と回答。さらに、興味があると答えたうちの6割が副業を始めているか、前向きに検討中だという。
また、実際に副業をしている551人に聞いたところ、コロナ禍以前と以後を比べると、「稼げる副業」を重視する人が減った一方、「自己投資やスキルアップにつながる副業」を重視する人が16.5%増加した。不要不急の外出を控える生活が続くこともあり、副業することで「暇つぶしになった」「趣味ができた」と回答した人も増えている。
都内在住の人材派遣会社勤務、藤田良哉さん(仮名・39歳)は、知人の勧めで副業を始め、失敗してしまったことを話してくれた。
「コロナがきっかけでイベント関連の仕事がほぼゼロになりました。業務もリモートワークとなったのですが、やることがなくて暇で……。コロナ前は激務だったこともあり、最初は時間ができたことを楽しんでいたのですが、徐々に不安へと変わっていきました」(藤田さん、以下同)
藤田さんが抱いた不安は、今後の仕事のこと。コロナの影響はいつまで続くのか、そして年齢的にも再就職は厳しいなど……。そんな時に参加した異業種交流会が藤田さんの転機となった。