コロナ騒動が続くこの夏、おとなしく家で過ごし、掃除でもして、眠っている“お宝”でも探してみるのもいいかもしれない。たんすや押し入れの奥、倉庫、屋根裏部屋など、普段あまり足を踏み入れない場所から出てくる“がらくた”が、宝の山に化けるかもしれないのだ。
だが、安易な判断は損につながる。長崎県の会社員、山本敦子さん(60才・仮名)は、実家の押し入れに古い着物がしまい込まれているのを見つけ、リサイクルショップに持って行った。
「母に聞くと、私の祖母の時代のものらしく、それにもかかわらず状態がとてもいい。きれいなうぐいす色の訪問着だったので、きっと高く売れると思ったのに、“買い取りはできません”と言われて……とてもショックでした」
実は、着物はいくら状態がよくても、結城紬や大島紬などでない限り、高値で買い取ってもらえることは少ない。遺品整理などを手がけるクオーレ代表の竹本泰志さんはこう話す。
「昔の着物は、現代人には丈が短く、サイズが合わないので、買い取りが難しいこともある。一方で、昭和初期の着物で状態のよいものであれば、場合によっては数十万円になることもあります。“絶対にいい値がつく”と思ったものに価値がなかったり、逆に”絶対に売れるわけがない”と諦めていたものが数万円で売れたりと、親世代以上の持ち物は、自分で価値を見極めるのが難しい。何が売れるかわからないからこそ、“全部売れる”と見て、専門業者だけでなく、メルカリやヤフオク!などへの出品も視野に入れてほしい」
着物だけでなく、流行に左右されやすい洋服も、高く売るのは難しい。だが、ファッションの流行の波にうまく乗ることができれば、予想外の高値がつくこともあるという。リサイクルアドバイザーの泉澤義明さんが言う。
「洋服は、買い取り業者の査定が500円にしかならないようなものでも、いまは“昭和レトロブーム”“大正ロマンブーム”なので、古着を欲しがっている若い人の目にとまれば、メルカリなどでは2万円近い値段で売れることもあります。洋服だけでなく、趣味性の高いものは業者に出すより、ネットに出品した方がいい。マニアや“価値がわかる人”が、高く買ってくれるのです」
※女性セブン2021年8月19・26日号