クマノテとは、ラーメンショップの定番トッピングであるねぎの味付けに欠かせない粉末のこと。
「本部が『クマノテ』と名付けているんだけど、これがないと美味しくならないんですよ。成分がなんなのか、私にもわからない」(同前)
大きくて底が浅い水色のどんぶりもラーメンショップの共通点だが、これにも決まったルールはない。
「どこで何を買って使っても本部には何も言われない。『かっぱ橋道具街でもっと安いのを買ってきてもらっていいですよ』なんて言われたこともある」(同前)
堀切店の店主は父親の跡を継いだ2代目で、一度だけ契約書を見たことがあるというが、そこには「ラーメン以外のものを置かないように」と書かれていたそうだ。
実際にはそれすら守られず、「ねぎ丼」などのご飯ものや独自のセットメニューを出している店も少なくない。
「勝手に周りがSNSで盛り上がってくれた」
「この自由さがSNS時代にマッチした」と語るのは、流通ジャーナリストの坂口孝則氏だ。
「一般的なチェーン店には厳格なレシピがあって、全国どこでも味は統一されているのに、ラーメンショップは店舗ごとにメニューがバラバラ。背脂がたっぷり入る店もあれば、鰹だしの透き通ったスープが売りの店まで千差万別です。
同じチェーンなのに店ごとに個性があって、メニューも具材も全く違う。SNS上に『〇〇店が一番』とか『××店にはエビフライがあった』みたいな投稿を見て、“ラーショめぐり”をする人が出てきたんです。もともとラーメンは1人で食べに行けてスマホ1台で写真も撮れるから、相性がいいんですよね。
同じグループ内でファンそれぞれに自分の“推し”店があるのは、AKBに共通する魅力かもしれません」