坂がこんなに急勾配だったなんて!
悩まされたのは、においだけではなかった。実際に現地に行っていれば、事前に確認できたはずのことも多々あったそうだ。
「住んでみれば、玄関ドアの立て付け、トイレにある段差の高さ、収納位置に自分の身長で届くのかなど、事前に確認しておくべきことは多かったように思います。あと、築年数が浅い物件なら関係ないかもしれませんが、部屋の経年劣化具合も見てもらうべきでした。水道の蛇口はスムーズに回せるか、壁紙の画びょう跡、エアコンの消耗具合なども、実際に見なければわかりませんね」(Bさん)
部屋探しは物件そのものだけでなく、住民のマナーや街の雰囲気、駅からの距離なども重要な判断基準になる。人材紹介会社で働く30代男性・Cさんは、オンライン内見で気づかなかった一例として「坂」の存在を挙げる。
「オンライン内見だと駅から物件までの距離が分かりにくい。自分で歩いてみるのはマストだと思いました。私の場合、急勾配の坂の存在をGoogleストリートビューで知りましたが、『それほどではない』と判断したため、今まさに地獄を見ています……。駅前のスーパーを利用するために毎日のように坂を上りますが、在宅勤務でなまった体が悲鳴を上げています」
住民のマナーも気になるところだ。Cさんは、「オンライン内見では気づけない部分は多い」と声を大にする。
「住民のゴミ出しや、共用の廊下部分のマナーもチェックしにくいです。入居してみたら、結構マナーがよくなかったというか……。袋に入れずに生ごみをそのままで出す人がいたり、隣の住人が掃除機をかけないで、ほうきでごみを外にかきだしているのも驚きでした。こういう細かいところに気が付くには、現地に何度も足を運ぶしかないのかもしれません」(Cさん)
一見、効率的に思えるオンライン内見だが、現実との想定外のズレが生じることもある。現地に足を運ばずに契約して、引っ越してから後悔することのないよう、その落とし穴の数々には留意しておきたい。