このため、代理店間では「お宅はどこにいるの?」などと競争意識が芽生え、来年こそは頑張って社長の近くの“いい場所”に座ろうという励みになっているそうだ。
「約30年前に自分が社長になったとき、こういう泥臭いCMはやめようとしたこともありました。でも、これだけ浸透すると、やめたくてもやめられませんね(笑い)」
イナバ物置の上は、代理店の競争の場でもあったのだ。
【プロフィール】
稲葉明/1948年、東京都生まれ。1970年同社入社。経理部長、常務、専務、副社長を経て、1991年2代目社長に就任。今年10月21日には会長に就任する。『稲葉製作所』は先代の稲葉庄市氏が、1940年にプレス加工業として創業。その後、1961年から鋼製事務用机を、1975年からはCMでおなじみのイナバ物置の製造と販売を開始した。
※女性セブン2021年9月2日号