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「自宅は長男に相続」の遺言書でトラブル どこに落とし穴があったのか

相続トラブルに発展しやすいパターンには要注意

相続トラブルに発展しやすいパターンには要注意

 遺言書に署名や押印、日付がないといった形式的な不備があると、子供たちが相続の権利を主張し合うトラブルにつながる。

 形式的な不備を避けるには、公証役場で公正証書遺言を作成する方法や、自筆証書遺言を法務局に預ける選択肢がある。ただ、遺言書が法的に有効でもトラブルはある。

 父親が残した公正証書遺言に「自宅は長男に相続させる」とあった。長男は当然、「自宅とは土地建物のすべて」と理解したが、次男は「自宅とは建物を指し、土地は別」との主張を展開──。

「実は、公正証書遺言でもトラブルはある。曖昧な文言の遺言書は、逆に相続人を困らせる結果となることがあります。

 それを避けるには、遺言書に不動産を特定したうえで、『長男に自宅の土地建物を相続させるが、長男はその代償として次男に××円を交付する』といった具体的な記述をしておくことです。法律、税金、手続きなどの実務を理解した専門家に相談してから作成することをお勧めします」

 そう話すのは『トラブルの芽を摘む相続対策』の著書がある吉澤諭氏(吉澤相続事務所代表)だ。別掲の表にまとめたが、トラブルの多くは子供同士で起きる。生前の備えとして、子供がやるべきこともある。

 高齢になった母親と同居する長女は、母親の銀行口座を管理していた。母親の死後、2人の弟から「預金が激減している。姉さんが使い込んだんだ」と文句が──。

「よくあるケースで、本当に勝手に使ってしまっていることもあれば、他の兄弟が難癖をつけていることもある。

 もめないためには、親の通帳から引き出したお金を何に使ったか、領収書などできちんと記録を残しておくことが重要です。誰かが疑義を呈した時に、管理していた子供が即座に説明できるようにしておきたい」(吉澤氏)

 生前の準備により、避けられる場合もあるのだ。

※週刊ポスト2021年9月10日号

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