なかでも選手や関係者からの驚きの声が大きかったのが、自動運転バス「e-Palette」だ。全国紙五輪担当記者が語る。
「トヨタが独自に開発した自動運転の電気自動車で、広大な選手村を巡回し、選手や関係者の移動をサポートしました。トヨタが新型コロナ感染拡大に配慮して五輪関連の自社CMを放映しなかった影響もあり、日本のメディアで紹介されることは少なかったようですが、近未来を感じさせる仕事ぶりが海外の選手たちに大ウケでした」
男子3m飛板飛込メキシコ代表のロメル・パチェコ選手(35才)は、選手村を軽快に走るバスに搭乗し、タッチ式の操作パッドやモニターの様子などを撮影して、「未来の乗り物だ」と本人のTikTokに投稿した。
ほかにも多くの選手やスタッフが選手村をぐるぐる回り、通行人がいたら自動的に一時停車するバスの内外の様子をSNSにアップ。そのSNSを見た世界の人が「日本は別次元だ」「ドラえもんの世界のようだ」と感嘆した。アーチェリー女子台湾代表の譚雅テイ(テイは女偏に亭)選手(27才)も、本誌・女性セブンの取材に対し「選手村を走っていた自動運転バスは素晴らしかった!」と興奮気味に答えた。
海外から訪れた選手やスタッフをビックリさせたのは最先端の技術だけではない。普段、私たちが何気なく利用している身近な乗り物にも好奇の目が向けられた。それが「ママチャリ」だ。カナダ紙『トロント・スター』のコラムニスト、ブルース・アーサーさんは、自身のTwitterに、前部と後部に1人ずつ子供を乗せ、ママチャリのペダルをこぐ母親の写真を投稿した。
すると、同じカナダ人で日刊紙『ナショナル・ポスト』のコラムニストであるスコット・スティンソンさんが、
《Very efficient transport(とても効率的な移動手段)》
と絶賛。海外に住む彼らのフォロワーたちからも、「私もこの乗り物がほしい」と多くの意見が寄せられた。日本人には当たり前のママチャリが海外の子育て世代に強烈なインパクトを与えたようだ。
また、日本の温水洗浄便座や自動販売機についても褒め称えるコメントが相次いだ。前出の記者が言う。
「自由に外出や観光ができないからこそ、身近にあるものが注目を集め、SNSを通じて発信されるケースが目立ったと思われます」
※女性セブン2021年9月9日号