冷凍鶏肉に付着していた新型コロナウイルス
ブラジル、タイでは巨大な鶏舎で鶏を“大量生産”しており、その作業には多くの移民労働者を使っている。労働者は人権団体から摘発された例もあるほど劣悪な環境下で働かされており、品質管理が充分であるとはとても考えられない。その結果、ついに昨年、あってはならないことが起きてしまった。
「昨年、中国で、ブラジルから輸入した冷凍鶏肉をサンプル検査したところ、新型コロナウイルスが付着していたのです。劣悪な環境下で飼育・生産しているため、感染している作業員がいることに気づかず、ウイルスの付着を防ぐこともできなかったのでしょう」
WHOは「食品から新型コロナが感染する証拠はない」としているが、そもそもウイルスが付着すること自体、いかに管理がずさんかを物語っているといえる。一方、中国産の鶏肉は、生のまま日本に入ってくることはないという。鳥インフルエンザが問題になった2004年1月から、日本は中国産の鶏肉の輸入を禁止しているのだ。
「中国産の鶏肉は、生または冷凍の状態で日本に入ってくることはありません。しかし、焼き鳥などの加工品として火を通したものは入ってくる。中国産の鶏肉は、肥育ホルモン剤が使われているともいわれます」
大西さんによれば、アメリカではこうした危険性のある鶏肉は忌避されており、流通している鶏肉のほぼ100%が米国内産だという。事実、アメリカのケンタッキー・フライド・チキンは2017年から、《人間に有害な抗生物質なしで飼育された鶏肉を提供しています》と宣言している。
「米国産鶏肉にも抗生物質を投与されたものは少なからずありますが、アメリカでは、薬が使われていないオーガニックの鶏肉を選んで食べる人もいます。しかし安全な鶏肉は値段が高く、サイズも小さい。コストなどの問題から、鶏への抗生物質の投与は、継続的には減少していますが、アメリカの抗生物質のうち、80%は畜産農場で使用されているというデータもあります」(大西さん・以下同)
アメリカ人が食べない抗生物質入りチキンは、どこに行くのか……。ブラジル産、タイ産のものほどではないにしろ、日本に流れ込んできていることは間違いないだろう。
※女性セブン2021年9月9日号