例年なら、お盆になれば、遠く離れた親類が集まることもあったはず。だが、今年の夏休みもコロナ禍が終息する気配はなく、昨年通り海水浴もキャンプもおあずけ──そうなると、楽しみはどうしても、食べ物に向かう。
このコロナ禍で人気が加速しているのが、鶏のからあげだ。ニチレイフーズが発表した2020年のからあげ消費量調査では前年比167%を記録しており、さらに、1年間のからあげ総消費量は実に400億個を突破したと推計するデータまである。
外食する機会が減り、Uber Eatsなどのデリバリーサービスが台頭する中で、人気のメニューながら家庭で揚げるのがめんどうなからあげは、専門店も増加。しかし、そんな「国民食」であるからあげに、知られざる危険が潜んでいるという。
輸入鶏肉が細菌の温床に
まず、外食やデリバリーで提供されるからあげに使われている鶏肉は、コストの面からも、ほとんどが輸入品だと考えられている。2020年の総務省の簡易統計によると、日本に輸入されてくる鶏肉は、ブラジル産が74.6%、タイ産が22.7%と、この二国でほぼすべてを占めており、輸入量第3位のアメリカは2.3%となっている。
ではその二国で、鶏肉はどのようにつくられているのか。食の安全に詳しいジャーナリストの小倉正行さんが言う。
「ブラジルとタイは、巨大な鶏肉輸出国。いずれも鶏肉を大規模かつ工業的に生産しており、その品質には疑問符がつく。まず、ブラジルでは、2017年3月に大規模な鶏肉の食肉不正が発覚して大問題になり、EUやアメリカをはじめとする世界中の国々がブラジル産の鶏肉の輸入を禁止するきっかけとなりました」
ブラジルの21もの食肉加工業者が検査官にわいろを贈り、衛生基準を満たさない肉や水でかさ増しした肉などを出荷していたことが明るみに出たのだ。
「発がんの危険性が指摘されている肥育ホルモンなどの成長促進剤を使って育てた肉や、腐っている肉を売ったという話も伝えられており、少なくともブラジルにはそういった事件が起きる温床があるのです」(小倉さん・以下同)