とにかく彼らは、中国の道徳、社会通念、社会のルールから著しく逸脱していると見られるようになった。
中国社会の問題点は、富裕層の多くが彼らと紙一重であるということだ。逆に言えば、こうした類の人物でなければ中国では富裕層になれないということでもある。
これではとても自由主義など実践できるはずがない。生半可な執行力では法治は機能しない。中国社会に共産党がなくてはならないのはこうした現状があるからではないだろうか。
ちなみに今回の脱税事件で、税務当局が捜査手続きを始めたのは4月初旬。これは鄭爽が起こした貸付金返済裁判の二審判決が出た直後である。手口の詳細、動かぬ証拠がどこから出たのかは明らかであろう。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も発信中。