ふたり暮らし家庭の月々の電気代とガス代は、平均1万4142円。1000円でも抑えられれば、1年間でかなりの節約になる。そこでこまめに電気を消したり設定温度を下げたりする方法もあるが、あらゆる「契約」を根本から見直せば、一度の手間でずっとお得になるのだ。
毎月必ず支払う水道光熱費は「固定費」だが、使用量に応じて料金が変わるという意味では、「変動費」ともいえる。
『33歳で手取り22万円の僕が1億円を貯められた理由』の著者の井上はじめさんは、新電力の楽天電気と楽天ガスに加入しているという。
「電気は30A(アンペア)のプランS、ガスもプランSで契約していて、夫婦ふたりで電気代は月々約4000円、ガス代は月々5000円くらいで済んでいます。こまめに電気のスイッチを切るような節電はしていません。頑張って節約するより、契約そのものを見直す方が得だからです。電気やガスで月1000円減らすことができれば、年間で1万2000円。がまんを積み重ねて節電に励むよりも効果は大きいのです」(井上さん)
2016年4月から電力とガスの小売りが自由化されて新規参入が相次いだ。だが、2020年末の経産省資源エネルギー庁のまとめによれば、実際に新電力に切り替えた家庭は、全体のおよそ20%しかない。
環境エネルギージャーナリストの本橋恵一さんは、基本的にどの家庭でも、新電力に切り替えた方が料金を抑えられると話す。
「全体の20%しか切り替えていないということは、残りの80%もの人が電気代やガス代を損しているということです。特に、最近増えてきた電気とガスのセットプランなら、料金を抑えられるだけでなく、管理もしやすい」
井上さんのように、電気とガスをセット契約にするだけでも安くなる。例えば、電気を東京ガスにまとめたり、逆にガスを東京電力にまとめたり。ソフトバンクやKDDIなどの通信会社も、電気とガスのセット料金でお得なメニューを用意している。
消費生活アドバイザーの丸山晴美さんは、居住地や生活スタイルに合わせて選ぶのがいいと話す。
「よく車に乗るなら、ENEOSでんきだと給油代が1リットル2円引きになります。また、東急沿線に住んでいるなどで東急カードを持っているなら、東急でんきと東急ガスを組み合わせると、定期券の割引きなどがある。自分の生活圏やよく利用するサービスと組み合わせるといいでしょう」
新電力は、一般的に基本料金が月40Aで1000円程度だが、なかにはLooopでんきなど、基本料金がゼロ円の会社もある。