例えば、長年同居して食事を出していただけでは寄与分は否定されます。しかし、お父さんが介護を必要とする場合で、本来であれば家政婦などを雇ったり、介護保険制度で介護サービスを受けることができる場合で、被相続人の「療養看護」をしたのであれば、これらに要する費用の実費分だけ相続財産の減少が防げたことになり、寄与分が認められることになります。
お父さんの入浴や洗髪、さらに排泄を介助したり、失禁の後始末などを継続的にしていれば、相当の負担と思われるので寄与分が認められる可能性があります。
妹さんたちが同意しない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てて、寄与分も含めて協議し、そこでも調停がまとまらないときは、寄与分の申立と遺産分割の双方の審判を申し立て、裁判所の判断を受ける必要があります。
介護を必要とした程度、作業内容、介護した期間やヘルパー資格の有無などで寄与分の有無や範囲が違ってきますから、これらがわかる資料を準備して弁護士会などで法律相談を受けることをおすすめします。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※女性セブン2021年9月16日号