自動車ジャーナリストの佃義夫氏は、事故の影響は意外に大きいという。
「この自動運転車『e-パレット』は、トヨタにとって今後の自動車業界の最重要テーマであるCASE(コネクティッド・自動化・シェアリング・電動化の4つを示す)を象徴する存在でした。
東京大会の選手村で実証実験を行ない、パリ大会では改善を加えた新『e-パレット』を披露し、その上で豊田社長肝煎りの『ウーブン・シティ』(完全自動運転の実験都市)が立ち上がるという展開を想定していたはず。しかし、今回の事故でこのスケジュールが根本的に見直されることもあり得ます」
こうした新技術のお披露目では、何よりイメージが優先されるからだ。
トヨタはこの件について「引き続き『安全』を最優先の課題として位置づけ、安全・自動運転技術の開発を進めてまいります」(広報部)と答えた。
※週刊ポスト2021年9月17・24日号