真壁昭夫 行動経済学で読み解く金融市場の今

緩和縮小でも株高に導く「パウエル・マジック」 株式市場に3つのシナリオ

 そして、可能性は低いかもしれないが「超悲観シナリオ」も頭の片隅に置いておいた方が良いかもしれない。世界的な低金利ということは、裏を返せば、それだけ債券が買われている“債券バブル”と言え、これが弾ければ金利は急上昇。そこに株の急落が重なり、さらに中国が格差の解消に向けてアリババをはじめIT企業への締め付けを強めた結果、中国経済が低迷するようなことになれば、新たな“チャイナ・ショック”の可能性も出てくる。そうなれば、世界的な金利上昇で「世界同時株安」となることも免れないだろう。

 世界中の投資家が、これまで株高に安住していることに心地良さを感じてきたが、その前提となる金融政策は変更された。“ぬるま湯”に浸かったままではなく、3つのシナリオを念頭に置いて、来るべき変化に備えておきたい。

【プロフィール】
真壁昭夫(まかべ・あきお)/1953年神奈川県生まれ。法政大学大学院教授。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリルリンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。「行動経済学会」創設メンバー。脳科学者・中野信子氏との共著『脳のアクセルとブレーキの取扱説明書 脳科学と行動経済学が導く「上品」な成功戦略』など著書多数。

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